近代文芸評論史大正篇の輪郭十二年末以降である。こうして非自然主義ないし反自然主義を標榜する理想主義あるいは耽美主義|の思想芸術の勃興に伴い、その主張をかかげた評論が輩出し、純乎たる自然主 9 義の言説は影をうすくするに至った。大正期は、こと ...

... 理想とモラルをつかもうとした時、彼等が発見したものは、個我の完成とは何ものに ... 大正文学の主流的なものは、自然主義、理想主義、耽美主義の何れの世界観や人生観 ... 時代をこえて、大正時代にのみさかんで、他の時代に失われたか、弱められた文学 ...

... 時代はわが国の文化史上他にその例を見ない、文学と美術が最も接近したというより、殆ど一体となって――活動を展開した時代であった、ということである。すなわちここで、わがの明治から大正 ... 主義文学から反自然主義文学である耽美主義文学、あるいは理想 ...

... 時代が白樺一派と交錯前後してゐるが、各特色をことかばはぜんてきりさうげいじゅつさしきてう的なものでも、理想主義 ... 耽美主義とか悪魔主義とかいふ主義その物の価値ではなくて、谷崎氏その人が独創的たにざきどくさうてききぞくと記憶がない。しかし大正 ...

... 思想空間』の制約下にあったということである。三木哲学の基調をなす耽美主義的理想主義,あるいは古典的ヒューマニズムは、大正期における『教養』主義的,『文化』主義的思潮の、彼における影響が如何に深刻なものであったかを十分にうかがわせるもので ...

字言ここに大正文学と称する期間は大正時代の前後を併せて、およそ二十年間を総括している。すなわち一九一〇年代、一九二〇年代の二十年間を大体蔽うている。一九一〇年(明治四三年)は大逆事件の年であり、「冬の時代」と称した明治社会主義 ... 理想主義、 ...