甦る,唯一無比の傑作評伝.追悼・種村季弘

サドに隠れていたマゾッホを全く新たな視点で甦らせながら、マゾッホとサドの現代性をあきらかにしつつ「死の本能」を核心とするドゥルーズ前期哲学の骨格をつたえる重要な ...

マゾッホを全く新たな視点で甦らせながら、「死の本能」を核心とするドゥルーズ前期哲学の骨格をつたえる名著。45年目の新訳。

その作品からマゾヒズムの核心を解き明かす

... 世界を呑み込む力」としての「精神」を提起しようとするだろう。或いはショーペンハウエルはむしろカントの「空虚」を逆手に取ってそこに「意志」を持ち込み、「世界 ... ザッヘル・マゾッホ紹介」等)、サドの哲学も「快楽-価値定立」が行き場なく雪崩れて ...

... マゾッホの例の有名な奴隷「契約」は、実のところ「演出メモ」にほかならないことを種村季弘は繰り返し述べていた(前出『ザッヘル=マゾッホの世界』)。ドゥルーズもまた(種村氏が引いているところでもあるが)、マゾッホにおいて「われわれが目にするもの ...

マゾヒズムはサディズムの裏返しではない―。不当に歪められた作家マゾッホの独創性とすぐれた現代性を証すフランス思想の巨星ドゥルーズの名著。

... マゾッホに、真実を仮面のように、仮面を真実のように生きた演劇的「離郷者」という特性を与えたが、「離郷者」とはいかなる人間の系譜に包括される存在なのか、そのことは、『ザッヘル・マゾッホの世界』を執筆中の筆者には既に分っていたことは疑いある ...